ゴシップ的日本語論

ゴシップ的日本語論 (文春文庫)

ゴシップ的日本語論 (文春文庫)

前半は日本語論, 中盤は日本文学論, 後半は対談, しかもその対談の内容が源氏物語瀬戸内寂聴), 歌舞伎(中村勘三郎), 西洋哲学(木田元他), と寄せ集め的な一冊だが, 逆に言えば, 丸谷才一の博学さ加減が窺える. そんな様々なトピックが飛び交う中, 一番印象に残ったのが「レトリック」に関する部分.
レトリックというものは「論理」に対立するものとして捉えられがちであり, 故に, あらゆる事物(文学さえも!)が「科学的」であることを良しとされる風潮である近現代においては軽視されがちである(「…はレトリックに過ぎない」のような言い方によって). しかし, 本来「祭り」や「儀式」的意味を持つ文学において, レトリックは最も重要視すべきものであり, そしてそれは論理に対立するものでは全くない. 論理とレトリックを両立させることこそが大切である, という主張であると理解した. 間違っていたらすいません.
「科学」にどっぷり漬かってしまっている僕もまさにレトリックを軽視する側の人間のつもりだったのだが, 考えてみれば「笑い」というのはまさに「論理とレトリック」の両立の上に成り立つものではないか. お笑い好きを自称する限り, レトリックはひたすら擁護すべき対象であることを肝に銘じておくことにしよう.

関連図書

ところでこの本, とても魅力的な本が沢山紹介されていて, 次から次へと読みたい本が増えてしまって困るのである. まず随所に登場する↓.

輝く日の宮 (講談社文庫)

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本書「ゴシップ的…」の大部分がこの小説の解説・舞台裏の紹介になっていて, 否が応でも興味が湧く. が, これ読む前に,
源氏物語 巻一 (講談社文庫)

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を知らねば面白さ半減なのだろうな.
兵士シュヴェイクの冒険 1 (岩波文庫 赤 773-1)

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丸谷氏が選ぶ「世界三大戦争小説」の筆頭らしい. が, 絶版で, 古本でもプレミア価格をふっかけて売られているものしか見当たらない. ということで早速図書館で借りて読んでいる. 全四冊中, ニ冊目の途中まで読んだのだが, もしかすると絶版になっている理由はアレがアレだったりするからかな, と思ったり思わなかったり. そうだとすればクダらないこと極まりないな…
あと, 最後の対談を読んで興味が湧いた(つもりになっている)数冊.
人間 (岩波文庫)

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ハイデガー『存在と時間』の構築 (岩波現代文庫―学術)

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現象学 (岩波新書 青版 C-11)

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眼と精神

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何となしに図書館で探していたら
最終講義

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を見つけたので手軽にここから入ってみよう.