東京奇譚集

東京奇譚集 (新潮文庫)

東京奇譚集 (新潮文庫)

村上春樹の短篇集なんてものは, 村上春樹ファンは誰に何言われようが読むのであり, アンチ村上春樹な人達は誰に何言われようが読まないのであって, こんなところで何を書こうが何ら意味はない*1わけだが, まあ, 折角読んだので推薦しておく. 村上春樹流の静かで抑えられた調子で綴られた不思議な不思議な物語. シンクロニシティやら, サーファーの幽霊やら, 名前を盗む猿やら, 一歩間違えれば陳腐なファンタジーだが, そこは村上春樹である, これだけサラリとやられると納得するしかない.
久々に村上作品を読んで改めて思うのは, やっぱりこの人は作品にジャズを持ち込まない方がいいんじゃないかな, ということである. 周囲の淡々とした雰囲気の中で, ジャズの話だけ自己主張が激しくて異質に感じる.

*1:そんなことは村上春樹作品に限らない, という意見は聞かないことにする.