検屍官
- 作者: パトリシア・コーンウェル,相原真理子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1992/01/08
- メディア: 文庫
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所謂日本の「新本格」というやつに毒され切っている身体でこういう正しい「小説」としてのミステリを読むと, 中盤くらいであの人が犯人だとしか思えなくなったり, 被害者の名前の頭文字に無理矢理メッセージを発見したり, 真犯人登場で納得いかずにブーたれたりするのである.
がしかし, 緊迫した恐怖あり, 恋愛あり, 蘊蓄あり, 「悪い実力者」が懲らしめられるカタルシスあり, さらには, 複雑な状況を読者に容易に理解・把握させる上手さもあり, と, エンターテインメントとしては当然のことながら非常に完成度が高く, 大満足である.