田紳有楽・空気頭

田紳有楽・空気頭 (講談社文芸文庫)

田紳有楽・空気頭 (講談社文芸文庫)

数寄者気取りの男に集められ, 古色を出すためにと池に沈められた陶器達と, その池に一緒に住む金魚, 遥か遠く湖の主, そんなこんなが繰り広げる超自然的物語である. これは私小説である. その筋に詳しい人にとって, これは「典型的な私小説の手法」らしい. つまるところ, 全ての登場人物(?)や発言や行動が何らかのメタファなのである. 多分. しかし, そんなことはどうでもいい. グイ呑みと金魚のドロドロの恋愛を, ストレートにシュールなドラマとして楽しむ読み方があってもいいと思うのである.