数学の問題を発表し, それに対して美しい解答を募る, という「
数学セミナー」あたりにも受け継がれている企画のオリジナルである. で, 実はこの「エレガントな解答」の話は本書の前半少しだけであって, 中盤以降は著者の講演録がいくつか収録されている. タイトルに偽りあり！なわけだが, 実はこの講演録が滅法面白い. とくに, 本書のメインだとしか思えないヴォリュームの
パスカルの定理の話と,
アインシュタインの
相対性理論の話は, 「全く予備知識を仮定せずに, 聴き手のモチヴェーションを高めつつ, 高度な内容のキモチを解らせる」というプレゼンテーションのお手本である.
パスカルの定理の話では, 最終的な結論を説明するために必要な知識を順序立てて, しかも必然性を感じさせながら導入しており,
相対性理論の話では, 思い切って話を一次元に限定することにより, シンプルに本質だけを説明している. 実にエレガントな講演録である.
